本と風景の家 Book-Scape house

大学で東洋美術の教える准教授の家。彼女の生活において仕事と暮らしが混沌と混ざりながら、気持ちの切り替えも重要だと感じた。一日のほとんどを研究に費やす。集中とリラックスの環境が隣り合わせにある事が素晴らしいと感じる空間を目指した。

小高い丘の上に立つこのマンションの窓先に広がる素晴らしい風景は、日差しや視界を遮り研究に没頭する事も必要な為、障子ではなく襖としている事でON/OFFの切り替えができる。自然光のコントロールされたワンルーム空間でストレスのない環境を目指すには室内の温熱環境も大変重要になるのでワンルーム全体の温度ムラを少なくするパッシブ冷暖房システムを導入。エアコン一台で床からの輻射熱と各所の床スリットより暖気が得られるように、また夏には自然の通風が主要な生活域に心地よく届くようコンピューター解析を行い平面や開口部を決定している。

最初の打合で、ひとともりの目指す「生活のデザイン」をお願いします。とおっしゃられた。

僕達はそれができましたか?

クライアントに一年後に尋ねてみるつもりだ。

 

設計監理: 

ひとともり 長坂純明 田所千絵

環境設計: 阿式信英

照明設計:BRANCH LIGHTING DESIGN

施工: 嵩倉建設

写真:河田弘樹